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外耳炎

耳の穴の入り口から鼓膜までのトンネルの部分を「外耳道」といいます。成人の場合、耳の穴の入口から鼓膜まで約3.5cmほどあります。外側の3分の1は軟骨に囲まれていますが、その内側の鼓膜に近い3分の2の部分は骨の上にデリケートな薄い皮膚でできています。自分自身が見えないため平気で毎日綿棒で触る方がたくさんおられます。そうするとすぐに傷がついてしまい、「耳が痛いのがなかなか治らない」といってよく受診されます。「他院に行って耳の中を診てもらったが異常はないと言われた。」という方が最近よく来られます。外見上は正常ですが、そのような症状の方の外耳道はほとんどが耳垢などひとかけらもない「ツルツルに磨かれた耳」であることが多く、要するに触りすぎなのです。清潔志向なのか知りませんが「綿棒」という名前のついた「鑢(やすり)」で何度もこすっていることが多く、私が「耳を綿棒でよく触っていませんか?」とたずねると「いいえ、3日に1回くらいしか触りません」などと答えられます。「3日に1度」はさわりすぎなのです。お風呂上りに毎日綿棒で水分を取るなどという行為はわざわざ外耳炎を創り出していると考えても過言ではありません。耳垢も決して無駄なものではありません。程よくためていただいても大丈夫ですのであまり耳掃除ばかりしないようにお願いいたします。

 

(1)外耳炎の症状と原因

外耳炎とは外耳道炎とも呼ばれ、耳穴と鼓膜とをつなぐ、外耳道で炎症を起こし、赤くなったり腫れたりする病気です。
主な症状としては耳のかゆみ・耳の痛み・耳だれなどがあげられ、悪化してしまうと難聴(耳が聞こえづらい)・閉そく感(耳が詰まった感じ)などの症状を伴ってきます。
主な原因としては細菌や真菌の感染によるものです。
通常、外耳道の皮膚はバリヤー機能があり感染を起こすことは基本的にはありません。しかし過度な耳かきなどで外耳道の皮膚に傷をつけるとそこから細菌などが入り込んで感染を起こします。
アレルギーなどがあり、耳が痒くなりやすい方は要注意です。また、海水浴などで水がはいったり、ヘアスプレー・毛染め剤などの刺激で起こる場合もあります。

 

(2)診断・検査方法

<問診>
耳鏡や内視鏡カメラを使い、外耳道の状態を確認します。

<診断>
外耳道が赤く腫れていたり、膿や分泌物のかすが付いていたりする状態が見られる場合、診断されます。
真菌による感染症の場合には、診察+培養検査の結果により診断されます。

 

(3)治療内容

「耳を触らない」ことが非常に大切です。

<分泌物などの除去や消毒>
外耳道をきれいに清掃・消毒することで、聞こえづらさが解消されることがあります。

<薬物療法>
抗生剤の点耳薬を処方する場合が多いです。炎症の程度が強いときには、ステロイドの点耳薬・軟膏を患部に塗ることで症状が治ります。ステロイドは副作用を考慮しながら、短期間に使用します。かゆみが強い場合には、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤、抗不安剤などの鎮痛薬の服用が必要な場合もあります。

 

(4)お気をつけいただきたいこと

<耳掃除について>
外耳炎の一番の原因は耳掃除のしすぎです。
耳には自浄作用があり、耳あかなどの汚れは自然に外へと出てくる働きがあるので、やりすぎは禁物です。

<イヤホンについて>
イヤホンを使う場合は、長時間にならないようにすることで耳への負担を軽減できます。また付着した汚れを拭き取り清潔に保つことも大切です。

 

<耳の痛み チェックリスト>

耳の痛みや違和感の原因は、日常のちょっとした習慣にあることが少なくありません。以下の項目にチェックを入れて、思い当たることがないかご確認ください。

耳を触る・掃除する習慣について

□ 耳掃除を週に1回以上している
□ 耳の中がかゆくて、綿棒や指で触ることがある
□ 耳掃除で出血や痛みを感じたことがある
□ 炎症部分を綿棒で何度も確認してしまう

イヤホン・音の習慣について

□ 耳に差し込むタイプのイヤホンをよく使う
□ 長時間(1日2時間以上)イヤホンを装着している
□ 耳の中に汗や蒸れを感じることがある
□ イヤホン使用後に耳が痛くなることがある

日常生活での耳への負担

□ 重たいランドセルやバッグを肩にかけたとき、耳に響くような痛みがある
□ スマートフォンやタブレットを見るとき、うつむく姿勢が多い
□ 仕事や勉強で下を向く時間が長い

 

<外耳炎に関するQ&A>

■Q1.他の耳鼻科では「異常なし」と言われたのに、痛いのはなぜですか?

→A1.外耳炎は見た目ではわかりにくいことがあります。
触りすぎによる軽い炎症や、神経の過敏反応が痛みの原因になっていることもあります。

 

■Q2.イヤホンは使ってはいけませんか?

→A2.完全に禁止ではありませんが、耳に密着するタイプは外耳炎を悪化させやすいです。骨伝導イヤホンヘッドホンへの変更をおすすめしています。

 

■Q3.治ってきたけど、つい綿棒で中を確認してしまいます。

→A3.この行為が炎症の長期化・再発の一番の原因です。
完治まで絶対に「触らない」が鉄則です。

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